Jitter Smoothing

過去数年間、サーバークラスの顧客は、プロセッサーベースのパフォーマンスが世代を重ねるたびに向上するのを見てきました。この向上は、ほとんどがコア数の増加と効率的な命令セットアーキテクチャーによるものです。前の10年とは異なり、CPUの基本周波数は、コア数の増加とアーキテクチャー強化に由来するパフォーマンスの改善と並行して安定しています。ただし、プロセッサーベンダーは、すべてのワークロードがコア数の増加による恩恵を受けるとは限らないことを理解し始めたため、電源ヘッドルームを利用できる高い周波数で一部のコアを便宜的に実行し、その他のコアの実行を抑制する機能を導入しました。

これらの便宜的な周波数ではパフォーマンスが向上する反面、望ましくない副作用もあります。周波数の変化自体が、コンピューティングジッター、不確定性、望ましくない遅延時間をもたらします。ジッターおよび関連する遅延は、いくつかの顧客セグメントで問題を生じています。たとえば、高頻度のトレーダーは、時間が重要となる取引に頼っています。周波数の変化によって引き起こされるマイクロ秒単位の遅延が取引に不確定的に追加されるのを容認できません。このような遅延が度重なると、トレーダーに数百万ドル以上のコストをもたらすことがあります。他の環境でも、RTOS(リアルタイムオペレーティングシステム)を実行して重要な機能を制御しているサーバーは、日和見的周波数機能が有効になっているときに発生するランダムな遅延は容認できません。

遅延に敏感な顧客の間では、関連するジッターを回避するために、通常はアプリケーションのパフォーマンスの向上につながる機能を無効にする傾向があります。プロセッサーが高速で実行されれば取引も高速で実行されますが、ランダムな遅延のコストが発生すると、パフォーマンスの向上のメリットが失われます。

Hewlett Packard Enterpriseでは、Gen10以降のサーバーにプロセッサージッター制御機能を導入して、顧客が高周波数の利点と低ジッターの両方を実現できるようにしています。この機能は、インテルXeonスケーラブルプロセッサーを使用するGen10以降のサーバーで利用できます。この機能は、AMDプロセッサーを使用しているサーバーではサポートされていません。この機能により、日和見的周波数管理によって引き起こされるジッターを除去するか低減することが可能となり、遅延応答が改善されスループットのパフォーマンスが向上します。

プロセッサージッター制御機能を有効にすると、オペレーティングシステムの電力管理設定の変更が必要となる場合があります。