ワークロードプロファイルとパフォーマンスオプション

ワークロードプロファイルは、HPE Intelligent System Tuning(IST)機能の1つで、事前構成されたワークロードプロファイルを選択することにより、HPE ProLiantサーバーのリソースを調整することができます。サーバーは、選択したワークロードに一致するようにBIOS設定を自動的に構成します。

システムで提供されたワークロードプロファイル

システムは、これらのワークロードプロファイルを提供します。

一般的な電力効率のコンピューティング

このプロファイルは、ほとんどのProLiantサーバーとHPE Synergyコンピュートモジュールのデフォルトのプロファイルです。

このプロファイルは、ほとんどのアプリケーションのワークロードに役立ち、しかも全体のパフォーマンスに及ぼす影響が最小限になる電力管理設定を有効にする、最も一般的なパフォーマンス設定を適用します。適用される設定は、一般的なアプリケーションパフォーマンスと電力効率の間のバランスの取れたアプローチに対して非常に有利に働きます。

このプロファイルは、通常BIOSをワークロード用に調整しないお客様にお勧めします。

一般的なピーク周波数のコンピューティング

このプロファイルは、任意の時点において個々のコアで可能な最大周波数を実現する必要があるプロセッサーやメモリにとって一般的に有利になるワークロードを対象としています。電力管理設定は、任意のコンポーネントの上方周波数が容易に得られることが確実なときに適用されます。発生する可能性がある遅延時間よりも処理速度が優先されます。このプロファイルは汎用プロファイルであるため、プロセッサーコアとメモリの速度を向上させるための全般的な最適化が行われます。

このプロファイルは、計算時間が短いことが通常有利になるワークロードに有利です。

一般的なスループットのコンピューティング

このプロファイルは、合計最大継続ワークロードスループットが必要な場合にワークロードに対して使用するためのものです。個々のコアが最大の速度でプロセッサーが実行されても、スループットの向上が必ずしも実現されるわけではありません。スループットの向上は、プロセッサーが最大使用率のときに使用可能なすべてのコアで持続的な処理を実行できるときに実現されます。到達可能な最大帯域幅に影響することが認識されている場合、電力管理設定は無効化されます。

最高のスループットが達成されるのは、ワークロードがNUMA(Nonuniformed Memory Access)を認識して最適化されているため、NUMAの認識が有利に働く設定が適用される場合です。

仮想化 - 電力効率

このプロファイルは、仮想化環境で使用するためのものです。このプロファイルにより、利用可能なすべての仮想化オプションが有効になります。特定の仮想化テクノロジーは、非仮想化環境にパフォーマンス上の影響を及ぼすことがあり、他のプロファイルで無効にすることができます。電力管理設定は、仮想化オペレーティングシステムを実行している場合にパフォーマンスに影響を及ぼすことがあり、このプロファイルは仮想化に配慮した電力管理設定を適用します。

仮想化 - 最大パフォーマンス

このプロファイルは、仮想化環境で使用するためのものです。このプロファイルにより、利用可能なすべての仮想化オプションが有効になります。最大のパフォーマンスを提供するため、電力管理設定は無効になります。

低レイテンシ

このプロファイルは、ワークロードの計算待機時間が最小になることを希望する顧客が使用するためのものです。このプロファイルは、HPE低レイテンシのホワイトペーパーに記載されている最も一般的なベストプラクティスに従っています。全体的な計算待機時間を減少させるために、最大速度およびスループットが犠牲になります。計算待機時間を導入する電力管理およびその他の管理機能も無効化されます。

このプロファイルは、リアルタイムのオペレーティングシステム(RTOS)またはトランザクション待ち時間の影響を受けやすい他のワークロードを実行している顧客に有利に働きます。

ミッションクリティカル

このプロファイルは、基本的なサーバーのデフォルト値を上回るサーバー信頼性とパフォーマンスの妥協点を探る顧客によって使用されるためのものです。プロファイルには、計算パフォーマンスに対して測定可能な影響を及ぼす、高度なメモリの信頼性、可用性、および保守性(RAS)の機能があります。このプロファイルを有効にすると、最大メモリ帯域幅に影響を与え、メモリの遅延が大きくなります。

トランザクションアプリケーション処理

このプロファイルは、データベースバックエンドを必要とするオンライントランザクション処理(OLTP)アプリケーションなどのビジネス処理環境で使用するためのものです。たとえば、ワークロードは通常、共同でホストされるデータベースコンポーネントを持つ単一サーバー上で実行されるユーザーベースの多数のトランザクションアプリケーションで構成されています。このプロファイルは、ピーク周波数とスループットの両方の管理要件のバランスを調整します。

ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)

このプロファイルは、従来のHPC環境で実行しているお客様向けです。通常これらの環境は、大規模な科学的および工学的なワークロードを処理するために、各ノードが長期間にわたって最大の使用率で実行できるクラスター環境です。Apolloシリーズサーバーのデフォルトの場合、継続的に利用可能な帯域幅およびプロセッサーコンピュート容量を優先させるために、電力管理は通常無効化されます。このプロファイルは、最大スループットを達成するためにいくらかの遅延時間が受け入れられたことを除けば、低レイテンシプロファイルに似ています。

意思決定サポート

このプロファイルは、データマイニングやオンライン分析処理(OLAP)などのデータウェアハウスでの操作およびアクセスに焦点を合わせたエンタープライズビジネスデータベース(Business Intelligence)ワークロードのためのものです。

グラフィック処理

このプロファイルは、Graphics Processing Unit(GPU)を使用するサーバー構成上で実行しているワークロードのためのものです。 GPUは通常、I/Oとメモリの間の最大帯域幅によって異なります。I/Oとメモリ間のリンクに影響を与える電源管理機能は、無効化されています。ピア間トラフィックも重要であるため、仮想化も無効になります。

I/Oスループット

このプロファイルは、I/Oとメモリ間の最大スループットに依存している構成に使用されるものです。I/Oとメモリ間のリンクにパフォーマンス上の影響を与えるプロセッサー使用率に依存する電源管理機能は、無効化されています。

カスタム

ワークロードプロファイルメニューのこのオプションは、ワークロードプロファイルを無効にします。展開の特定のBIOSオプションを手動で設定する場合、このオプションを使用します。カスタムを選択すると、以前に選択したプロファイルの設定がすべて変換されます。すべてまたは一部のオプションを編集できます。

カスタムはプロファイルではなく、指定した設定はテンプレートとして保存されません。

サーバーのデフォルトプロファイル

ワークロードプロファイルのオプションは、さまざまな電力消費とパフォーマンス要件をサポートします。ほとんどのHPE ProLiant Gen10サーバーおよびHPE Synergyコンピュートモジュールでは、ワークロードプロファイルはデフォルトで一般的な電力効率のコンピューティングに設定されています。このワークロードプロファイルは、ほとんどのアプリケーションワークロードに適した一般的なパフォーマンスと消費電力の設定を提供します。HPE Apolloシステム内のProLiant XLサーバーの場合、ワークロードプロファイルはデフォルトでハイパフォーマンスコンピューティングに設定されています。

カスタムプロファイル以外のワークロードプロファイルを選択すると、他の設定オプションに影響します。たとえば、一般的なピーク周波数のコンピューティングプロファイルを選択すると、パワーレギュレーターモードがスタティックハイパフォーマンスになります。この設定は変更できず、グレー表示されます。